これまでSHARP Brain SH3のLinux化について、初期設定やネット接続、便利ソフトなどを紹介してきました。

今回は、多くの人が気になる「音を出す方法」を試してみました。

最初は、SHARP Brain SH3に搭載されている内蔵オーディオのSGTL5000をLinux上で動かそうとしました。

しかし、現時点では内蔵オーディオを正常に認識させることができず、音を出せない状態が続いています。

そこで、USBオーディオアダプターを接続してみたところ、Linuxから正常に認識され、スピーカーから音を出すことに成功しました。

テスト音だけでなく、mpg123やAudaciousを使ったMP3の音楽再生もできています。

この記事では、実際に行った確認方法や音楽を再生するまでの手順を紹介します。

この記事は、実際にSHARP Brain SH3で音楽を再生しながら書いています。

今回使用した機器

今回使用した機器はこちらです。

  • SHARP Brain PW-SH3(Linux化済み)
  • USB OTGケーブル
  • USBオーディオアダプター
  • スピーカーまたはイヤホン

使用したUSBオーディオアダプター

今回使用したUSBオーディオアダプターは、Linux上では次のデバイス名で認識されました。

Generalplus USB Audio Device

特別なドライバーを追加することなく、USB OTGケーブルを経由して接続すると自動的に認識されました。

すべてのUSBオーディオアダプターで動作するとは限りませんが、Linuxで一般的なUSB Audio Class対応製品であれば、そのまま認識される可能性があります。

今回実際に使用したUSBオーディオアダプターはこちらです。

 

Linuxでそのまま認識され、特別なドライバーを追加することなく利用できました。

※今回使用したUSBオーディオアダプター以外でも、USB Audio Class対応製品であれば動作する可能性があります。ただし、すべての製品での動作を保証するものではありません。

USBオーディオが認識されているか確認する

USBオーディオアダプターを接続したら、まずはALSAからサウンドデバイスとして認識されているか確認します。

サウンドカードの一覧を表示する

ターミナルで次のコマンドを実行します。

cat /proc/asound/cards

私の環境では、次のように表示されました。

USB-Audio - USB Audio Device
Generalplus USB Audio Device at usb-ci_hdrc.0-1.4, full speed

このように「USB-Audio」や「USB Audio Device」と表示されれば、USBオーディオアダプターは認識されています。

再生デバイスを詳しく確認する

再生デバイスのカード番号やデバイス番号を確認したい場合は、次のコマンドを実行します。

aplay -l

環境によっては、USBオーディオがカード0ではなく、カード1などで認識される場合があります。

カード番号は、後で再生先を明示的に指定するときにも使います。

対応している音声形式を確認する

USBオーディオアダプターが対応している音声形式は、次のコマンドで確認できます。

cat /proc/asound/card0/stream0

USBオーディオがカード1として認識されている場合は、次のように変更します。

cat /proc/asound/card1/stream0

今回確認できた形式

今回使用したUSBオーディオアダプターでは、次の形式が確認できました。

  • S16_LE
  • 44100Hz
  • 48000Hz

S16_LEは、16bitのリトルエンディアン形式です。

一般的な音楽ファイルで使用される44.1kHzと、動画などでよく使われる48kHzの両方に対応していました。

テスト音を鳴らして確認する

USBオーディオが認識されていても、実際に音が出るとは限りません。

そこで、ALSAに含まれているspeaker-testを使って、テスト音を鳴らしてみます。

speaker-testを実行する

次のコマンドを実行します。

speaker-test -c 2

正常に動作すると、左右のスピーカーから順番に「サー」というノイズが聞こえます。

私の環境でもテスト音が正常に鳴りました。

USBオーディオを直接指定する場合

複数のサウンドデバイスがある場合は、USBオーディオを直接指定できます。

カード0、デバイス0の場合は次のように実行します。

speaker-test -D hw:0,0 -c 2 -r 48000

カード1、デバイス0の場合は次のようにします。

speaker-test -D hw:1,0 -c 2 -r 48000

音が鳴り続けるため、終了するときはキーボードのCtrlキーを押しながらCキーを押します。

mpg123でMP3を再生する

テスト音が鳴ったので、次はMP3ファイルを再生してみました。

最初はVLCを使いましたが、私の環境では音がかすれたり、ALSA関連のエラーが表示されたりして、安定して再生できませんでした。

そこで、軽量なコマンドライン型MP3プレーヤーのmpg123を使用しました。

mpg123をインストールする

次のコマンドを実行します。

sudo apt update
sudo apt install mpg123

MP3ファイルを再生する

インストールが完了したら、MP3ファイルを指定して再生します。

mpg123 "音楽ファイル.mp3"

ファイルがホームフォルダにある場合は、次のようにフルパスを指定できます。

mpg123 "/home/user/01.音楽ファイル.mp3"

実際に試したところ、曲が途切れたり、音がかすれたりすることなく、正常に再生されました。

日本語のファイル名を入力できない場合

SHARP Brain SH3側で日本語入力環境を整えていない場合、日本語の曲名を直接入力するのは大変です。

その場合は、ファイル名の最初の数文字を入力してからTabキーを押すと、自動補完できます。

たとえば、次のように入力します。

mpg123 01.

この状態でTabキーを押すと、該当するファイル名が自動的に補完されます。

Audaciousで音楽を再生する

mpg123は軽量で安定して再生できますが、曲を再生するたびにコマンドを入力する必要があります。

毎回コマンドを入力するのは面倒なので、現在はGUIの音楽プレーヤーであるAudaciousも使用しています。

Audaciousをインストールする

次のコマンドを実行します。

sudo apt update
sudo apt install audacious

Audaciousを起動する

インストール後、ターミナルから起動する場合は、次のコマンドを実行します。

audacious

Audaciousを使えば、ファイル一覧から曲を選択したり、複数の曲をプレイリストに登録したりできます。

mpg123のように毎回ファイル名を入力する必要がないため、普段の音楽再生にはAudaciousのほうが便利です。

Audaciousで音が出ない場合

Audaciousを起動しても音が出ない場合は、出力プラグインの設定を確認します。

Audaciousの設定画面から、音声出力にALSAを選び、USB Audio Deviceを指定します。

複数のオーディオデバイスが認識されている場合は、内蔵オーディオではなくUSBオーディオを選択してください。

USBオーディオアダプターと組み合わせれば、SHARP Brain SH3でも快適に音楽を楽しめます。

Linux MintからSH3へ音楽ファイルを転送する

音楽ファイルは、Linux Mintを使用しているパソコンからscpコマンドでSH3へ転送しました。

1曲だけ転送する

次のように、転送したいファイルとSH3のIPアドレスを指定します。

scp "/home/user/音楽ファイル.mp3" user@192.168.2.xxx:/home/user/

パスワードを求められたら、SH3側のユーザーのパスワードを入力します。

フォルダごと転送する

アルバムのフォルダをまとめて転送する場合は、-rオプションを付けます。

scp -r "/home/user/音楽ファイルフォルダ" user@192.168.2.xxx:/home/user/

これで、アルバムのフォルダごとSH3のホームフォルダへ転送できます。

フォルダ内のMP3だけを転送する

画像ファイルなどは送らず、MP3だけを転送する場合は次のようにします。

scp "/home/user/音楽ファイルフォルダ/"*.mp3 user@192.168.2.xxx:/home/user/

音量が小さい場合の調整方法

音楽は再生できましたが、最初は音量が少し小さく感じました。

USBオーディオアダプターによっては、alsamixerで音量を調整できます。

alsamixerを起動する

次のコマンドを実行します。

alsamixer

USBオーディオを選択する

alsamixerが起動したら、F6キーを押します。

サウンドカードの一覧が表示されるので、「USB Audio Device」または「USB-Audio」を選択します。

左右の矢印キーで項目を移動し、上下の矢印キーで音量を調整します。

画面下に「MM」と表示されている場合はミュート状態です。

Mキーを押して「OO」に変われば、ミュートが解除されます。

調整が終わったらEscキーで終了します。

USBオーディオ側で音量調整できない場合

USBオーディオアダプターによっては、alsamixerに音量調整の項目が表示されない場合があります。

その場合は、Audacious側の音量を上げるか、音量調整機能付きのスピーカーやアンプを使用する方法があります。

VLCでは正常に再生できなかった

最初はVLCでMP3を再生しようとしました。

しかし、私の環境ではALSA Audio Output ErrorやBroken pipeに関するエラーが発生し、音がかすれたように聞こえることがありました。

USBオーディオの故障ではなかった

最初はUSBオーディオアダプターの故障や相性問題を疑いました。

しかし、speaker-testでは正常にテスト音が鳴り、mpg123とAudaciousでも音楽を再生できました。

そのため、USBオーディオアダプターやALSA自体には大きな問題はなく、VLC側の出力設定やSH3との相性が原因だった可能性があります。

現在の使い分け

現在は、動作確認にはmpg123、普段の音楽再生にはAudaciousを使っています。

  • 動作確認や軽い再生:mpg123
  • 複数曲やアルバムの再生:Audacious
  • VLC:私の環境ではオーディオ再生が不安定

内蔵オーディオはまだ動作していない

今回使用したのは、SHARP Brain SH3の内蔵スピーカーや内蔵オーディオではありません。

USB OTGケーブルに接続したUSBオーディオアダプターから音を出しています。

SGTL5000の認識に挑戦

SHARP Brain SH3には、SGTL5000というオーディオコーデックが搭載されています。

LinuxカーネルやDevice Treeの設定を確認しながら内蔵オーディオの認識を試しましたが、現時点ではサウンドカードとして表示されていません。

内蔵オーディオを動作させるには、Device Tree、SAIF、クロック、電源設定などをさらに調べる必要がありそうです。

USBオーディオなら比較的簡単

内蔵オーディオの設定は難易度が高いですが、USBオーディオアダプターなら接続するだけで認識されました。

内蔵スピーカーにこだわらず、とにかくSH3から音を出したい場合は、USBオーディオを使う方法が現実的です。

実際に使ってみた感想

SHARP Brain SH3で音楽を再生できたときは、正直かなり驚きました。

もともとは電子辞書ですが、Linux化することで、ネット接続やテキスト編集だけでなく、音楽再生までできるようになります。

音楽プレーヤーとしての実用性

高音質な音楽プレーヤーとして使えるわけではありませんが、作業中に音楽を流したり、動作確認をしたりする用途なら十分使えます。

Audaciousを使えばプレイリストも作成できるため、複数の曲を連続して再生できます。

USBポートを使う点には注意

USBオーディオを使用すると、SH3のUSB接続部分を占有します。

USB無線LANアダプターやマウスなどを同時に使いたい場合は、電源供給に対応したUSBハブが必要になる可能性があります。

SH3本体から供給できる電力には限りがあるため、多数のUSB機器を接続する場合は注意が必要です。

まとめ

SHARP Brain SH3のLinuxでは、現時点で内蔵オーディオを動作させることはできていません。

しかし、USBオーディオアダプターを使用することで、特別なドライバーを追加せずに音を出すことができました。

speaker-testでテスト音が鳴り、mpg123とAudaciousを使ってMP3の音楽再生にも成功しています。

今回のポイントをまとめると、次のとおりです。

  • USBオーディオアダプターは自動的に認識された
  • cat /proc/asound/cardsで認識状態を確認できる
  • speaker-testでテスト音を鳴らせる
  • mpg123なら軽量で安定してMP3を再生できる
  • AudaciousならGUI操作で複数の曲を再生できる
  • VLCは私の環境では音声出力が不安定だった
  • 音量はalsamixerで調整できる場合がある
  • Linux Mintからscpで曲やアルバムを転送できる

USBオーディオで音が出せるようになったことで、Linux化したSHARP Brain SH3の活用範囲がさらに広がりました。

今後も内蔵オーディオのSGTL5000を動作させる方法を探しながら、SH3をより実用的なLinux端末にしていきたいと思います。

今回実際に使用して、SHARP Brain SH3で正常に認識・音楽再生できたUSBオーディオアダプターはこちらです。

USBオーディオアダプター

 

USB OTGケーブル

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